相続対策②3つのポイント その1

相続対策には以下の3つの大きなポイントがあります。

1,争族対策・遺産分割対策

2,納税資金・節税対策

3,痴呆症対策

 

まず一つ目のポイント。

 

1,争族対策・遺産分割対策

 

前回も遺言書やエンディングノートについて少し触れましたが、対策としては非常に有効ですのでぜひご検討ください。

 

遺産分割をする上で分けにくい財産がある場合は、一方は得してもう一方は損したという不公平感が出ることが多くあります。

損した方は、簡単には納得できません。

そこから長きにわたり、争族が始まることがあります。

しかし故人は自分の遺産相続で大切な家族が争うことを望んでいたでしょうか?

 

「なぜ遺言が必要なのか?」

 

例えば相続人が子供2人(兄妹)で、長男(兄)と一緒に住んでいた4,000万円の自宅と1,000万円の現金を残して亡くなった場合、遺言書を書いていなかったとします。

 

民法第898条(共同相続の効力)

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

民法第900条(法定相続分)

四 子・直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は相等しいものとする。

 

上の民法により、相続財産の5,000万円は共有になり、相続分は相等しいとされています。

ですので兄妹は一旦2,500万円ずつ平等に持つことになります。

そこで、遺産分割協議が始まるのですが、被相続人と一緒に住んでいた長男の希望で、

自身が自宅(4,000万円)を。長女に現金(1,000万円)を。

という話が出ました。

となるとやはり長女は「1,500万円も損をした」という不公平感が出てきます。

 

しかし生前長男は故人と一緒に暮らしていたのですから、故人が遺言書に分割の指定と、なぜそのように分けるのかという理由や子供たちに対する思いを残していれば、双方が納得し、丸く収まる可能性が高くなります。

さらに遺言の付言事項やエンディングノートに追加していただきたいのは、

「これからも兄妹仲良く助け合って暮らしてほしい。遺産で争うことは絶対にやめてほしい。」

などと付け加えると更なる念押しとなるでしょう。

 

この例のように相続額の差額が多い場合には妹から兄へ ※遺留分 の請求があるかもしれませんが、多く貰った方が気持ちよく遺留分を払ったり、請求される前に遺留分を払ってあげると更に兄妹の関係性は良好に保っていけるでしょう。

 

相続、争族のお悩みは人それぞれです。

詳しくご相談されたい場合はぜひご予約の上、ご来店ください。

 

※遺留分とは…遺言で意思表示されていたとしても、法律では最低限の相続人の取り分が決められていて、 それを遺留分と言います。相続人は、もし遺留分が侵害されていたら、遺留分に相当する金銭を取り戻せるという事です。