不動産の共有名義について

相続が発生して遺産分割協議をする際に、複数の相続人に対して一つの不動産がある場合、皆さんはどのように分割しますか?

 

例えば兄弟2人の相続人が1,000万円の現金を相続する場合は、500万円ずつ簡単に分割できます。それでは1,000万円の価値がある土地・建物はどのように分割すればいいのでしょうか?

 

容易に土地を分筆できる広さがあれば良いのですが、60坪程度の土地と1棟の建物ですとそうはいきません。

このような場合には、次のような方法があります。

 

①換価分割をする

②代償分割をする

③名義を1/2ずつにする

 

①換価分割とは、不動産を売却し、お金に「換価」したうえで、そのお金を分割することです。相続しても誰も利用しない、利用する予定がないのであれば一番わかりやすく、もめにくい方法と言えるでしょう。

 

②の代償分割とは、相続人の1人(兄)が遺産である建物に以前から住んでおり、今後も住み続けたいという場合、1000万円の価値がある不動産を兄が単独で相続する代わりに、その「代償」として持分の500万円を弟に支払うことを言います。

ただし、少ない金額ではありませんので、兄が支払う資力がなければこの方法を用いることはできません。

もちろん、絶対に持分を守らなければならないということはありませんので、その金額は話し合いの上、決めることができます。

 

③の名義を1/2ずつにするということは、兄が住み続けていても所有者は兄・弟2人の共有名義となるということです。もし相続人が5人いれば、1/5ずつにすることも可能です。

一見良さそうに見えますが、デメリットも多く存在します。

兄1人が所有権を持っている場合は、その不動産を自由に使い、売ることも貸すこともできますが、共有の場合はそうはいきません。全て共有者の同意が必要になる場合があります。

 

例えば弟が売りたくても兄は住み続けたい、となれば争いに発展するかもしれません。

また相続人の1人が死亡した場合、権利関係が更に複雑になる可能性があります。

 

このように共有財産にしたことによる相続人間のトラブルは非常に多く、いつまでも遺産分割協議が終わらない原因の一つとなっています。

 

またトラブルが起きないように事前に対策をしておくことも大事です。

 

相続人間で話がまとまらない場合や事前に対策をしておきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。それぞれのパターンに合った相続のアドバイスをさせて頂きます。