笑顔相続のススメ①

皆さんこんにちは!

相続診断士が伝える心温まるお話、「笑顔相続のススメ」シリーズをご紹介します。

もしあなたに万一のことがあった時、残される大切なご家族のために、ご一読ください。

一般社団法人ながさき住まいと相続相談センターでは簡易版のエンディングノートを無料で差し上げておりますので是非お気軽にお立ち寄りください。

 

【エンディングノートは愛する家族への最後のラブレター】

 

 

 4月の日曜日の朝、自宅にいたB子さんはその日も夫であるAさんからの電話を待っていました。ゴルフで宿泊した日は必ず、翌朝8時に電話がかかってくるからです。しかし、8時30分になっても電話がかかってこないので、よほど深酒をして寝坊をしているのかと夫に電話をしてみました。「トルルル…」「ただ今電話に出ることができません…」。

 10時過ぎにB子さんから電話をもらったホテルマン2人が、足早にAさんの部屋に向かいました。「コンコン」。しかし部屋の中からは返事がありません。

 「Aさん、部屋の中に入りますよ」とホテルマンが大きな声で呼びかけながら、マスターキーでドアを開け、部屋に入りました。

 ベッドに横たわるAさんを発見し、すぐに救急車を呼びましたが、息を引き取って、すでに数時間経っていたようです。「心臓発作」でした。

 数日後に執り行われた50歳のAさんの葬儀は、たくさんの弔問客であふれていました。

 葬儀から1週間が過ぎましたが、大学1年と高校2年の子どもをどうやって育てていくのかを考える余裕さえ、B子さんにはまだありませんでした。夫の書斎を整理しなければと思いながら、手を付ける気力もわきません。

 そんなある日、夫の書斎で手帳を見つけました。手帳には、見慣れた几帳面な夫の文字。毎日の予定がびっしり詰まっていました。

 夫が忙しい毎日を過ごしていたことを改めて実感し、もう少し優しい言葉をかけてあげればよかったと涙があふれてきました。

 4月某日 成田でゴルフ

 夫の最後の予定。

 このゴルフにさえ行かなければ、今も夫は生きていたかもしれない。夫は幸せだたんだろうか?そんなことを考えながら手帳をめくると、最後の数ページ前に「B子へ、私に万一のことがあったら、書斎の机の一番下の引き出しを開けて見てください」という文字を発見しました。

 ドキドキしながら机の引き出しを探すと、表に「B子様」と書かれた少し大きい封筒がありました。

 封筒の中にはノートのようなものが入っており、表紙には「エンディングノート」と記載されていました。「エンディングノート」を開くと、夫の少年時代の思い出や葬儀に呼んでほしい人など様々なことが書いてありました。もう葬儀は終わってしまったじゃないか、と心の中で夫を責めながら読み進むと、「愛するB子様」というページを発見。

『この文章を読んでいるということは、私に何か起こったということだろうか…?このところ体調が良くないこともあり、エンディングノートというものを購入してみました。(中略)B子と結婚して20年、子どもたちもようやく手が放れ、この夏には二人で海外旅行でも行こうと思っていたのに残念です。私はB子と結婚して、本当に幸せでした』

 あとは涙があふれてしばらく読むことができませんでした。

 B子さんは、何かモヤモヤとした胸のつかえがスッと取れた感じがしました。モヤモヤとした感情は、急死した夫は本当に幸せだったのか?ということを最後に聞いてみたかったんだということもわかりました。

 夫のエンディングノートを読み、夫を亡くした大きな喪失感はあるものの、子どもたちと元気を出して生きていく気持ちになったそうです。

 エンディングノートは、愛する家族への最後のラブレターです。

 あなたも大切な人を思い浮かべ、ぜひ書いてみてください。